「角膜曲率」や「眼軸長」の正確な検査が眼内レンズの度数ずれをなくす
②眼軸長(眼の長さ)の検査
IOLマスター700
当院では現在最新式であるドイツ、ツアイス社製IOLマスター700で計測します。
詳細は下記をご参照ください。
眼内レンズの度数ずれを大幅に抑える“IOLマスター700”
眼の長さの測定ミスが眼内レンズの度数ずれの原因に
IOLマスターは眼の長さ(眼軸長)を測定する医療機器です。白内障手術では眼の中に入れる眼内レンズの度数を決定する際、角膜曲率と同じくらい重要な値が眼の長さ(眼軸長)です。実際、眼軸長測定ミスで眼内レンズの度数が狂ってしまったという多数の報告があります。
当院で新規導入したIOLマスター700は、正確に眼の長さを測定できる最新医療機器です。
IOLマスター700正確性①様々な角度から眼の長さを測定し、眼内レンズの度数ずれを防ぐ
旧型では1方向のみで眼軸長測定を行いますが、新型IOLマスター700では、6方向の全眼球スキャンを行います。
その分正確性が向上します。
■検査方法の違い
■検査結果の違い
IOLマスター700正確性②眼内各部位を詳細に測定し、眼内レンズ度数ずれを最小限に
IOLマスター700は、旧型に比べ測定できる箇所が増加しています。測定できる箇所が増えたことにより、レンズ選定の際、度数ズレを最小限に抑えることができ、正確性を向上させることができます。
■測定部位の違い
IOLマスター700正確性③眼の傾きと眼球の状況を感知し、眼の長さ(眼軸長)を正確に測定
当院で導入しているIOLマスター700では、眼が傾いていないかどうか常に確認し、水晶体の傾斜、偏心、固視不良などの指標を確認しながら計測するため、正確に眼の長さを計測することが可能です。
眼が傾いている状態で測定すると、測定結果に誤差が生じ、術後、眼内レンズの度数ずれを引き起こしてしまいます。
IOLマスター700では眼の傾きに加え、様々な指標を常に確認しながら計測するため、眼の長さ(眼軸長)の測定精度が向上します。
- 測定時の眼球状況を確認
-
- 水晶体の傾斜(傾き)
- 偏心(重心のズレ)
- 固視不良(視点のブレ)
- 固視状況、黄斑疾患の確認
-
- 中心窩の陥凹
- 中心窩陥凹非検出
- 中心窩形態的異常(黄斑疾患眼)
IOLマスター700正確性④多様な眼の形状に対応
人によって目の形状は様々
眼球の形状は、お一人お一人違います。
背の高い人もおられれば背の低い方もおられるように、眼も同様で、眼の長い方(例:近眼が強い方)もおられれば、眼の短い方(例:遠視の方)もおられます。これにより、それぞれの眼に適した眼内レンズの計算式があります。
眼内レンズの計算式は多数あり、どの計算式が一番正確か、諸説あります。
IOLマスター700は、今までの臨床成績を基に眼の形態シミュレーションを行って作られた計算式を使用しているため、イレギュラーな形態の眼にも対応が可能です。
計算式 |
必要な測定項目 |
SRK-T |
角膜屈折力 |
HofferQ |
角膜屈折力、眼軸 |
Holladay1 |
角膜屈折力、眼軸 |
Haigis、Haigis-L |
角膜屈折力、眼軸、前房深度 |
Holladay2 |
角膜屈折力、眼軸、前房深度、角膜横径、患者年齢、水晶体厚 |
IOLマスター700は、様々な眼の各部位を瞬時に測定し、様々な計算式を用いて多様な眼球の形状に対応することが可能です。
他にも、従来の検査とIOLマスターの検査を比較すると、測定できる項目に下記のような違いがあります。
測定内容 |
IOLマスター700 |
従来の検査 |
眼軸長 |
◯ |
◯ |
前房深度 |
◯ |
◯ |
瞳孔径 |
◯ |
◯ |
角膜横径 |
◯ |
◯ |
角膜屈折力 |
◯ |
◯ |
中心角膜の厚み |
◯ |
× |
水晶体の厚み |
◯ |
× |
網膜中心窩の状態確認 |
◯ |
× |
IOLマスター700の正確性
IOLマスター700は組織深達性が高い光源を使用しているため、従来の検査法では測定できなかった症状の進行した白内障でも測定可能です。
また、正確性についても旧型と比較して約3倍の再現性を示し、非常に正確なデータが測定可能です。